停留精巣

停留精巣とは、精巣が陰のう内に下降せず、腹腔(おなか)内に留まっている状態を指します。通常、胎児期に精巣は腹腔内から降下し、陰のう内に下降しますが、停留精巣の場合はこの下降が正常に行われなかったり、途中で止まってしまいます。
原因は、ホルモンバランスの異常や精巣導帯と呼ばれる精巣を陰のう内に固定している靭帯の異常と言われていますが確かな原因は不明です。
停留精巣は、生後6か月から1歳までの男児に見られ、成長とともに自然に治癒する場合があります。しかし、1歳を過ぎても治癒しない場合は手術(精巣固定術)が必要となります。将来的に不妊症の原因となることがあるためですが、精巣固定術を行い陰のう内に精巣を固定してもその精巣の精子形成障害が回復するかどうかは確実ではありません。 また、停留精巣は精巣腫瘍(癌)になる確率が通常の精巣より約40倍高い事がわかっています。手術をしてもその精巣の癌化のリスクは減りませんが、精巣が陰のう内にあることによって自分でも触ることができるようになり早期発見・早期治療に役立ちます。