腎がん

腎がんとは?

腎臓は、ソラマメのような形をした、成人の握りこぶしよりもやや大きい臓器です。肋骨の下端あたりの高さの腹部に、左右1つずつあります。お腹の背中側にある、後腹膜という場所に位置しています。
腎臓は体内に存在する老廃物を排出する重要な役割を持っており、主な働きの一つは血液をろ過しておしっこを作る事です。また、血圧の調節や造血に関するホルモンの生成なども行っています。
腎がんは主に、上皮性腎細胞癌(約85%)と、明細胞腎細胞癌(約70%)の2種類に分類されます。腎臓内に発生した腫瘍は、しばしば無症状であるため、健診の超音波検査やCT検査で偶然発見されることが多く、早期発見が重要です。

画像出典:腎がん(腎細胞がん)について:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

https://ganjoho.jp/public/cancer/renal_cell/about.html

画像出典:泌尿器癌外来 / 医療法人社団協友会 彩の国東大宮メディカルセンター

https://shmc.jp/medical/department/urology/cancer.html

主な症状

  • 背中や腰やわき腹の痛み
  • 血尿
  • 発熱
  • 体重減少
  • 疲労感、食欲不振

治療

腎がんの治療法は、腎癌の病期(ステージ)(進行度)、患者さんの年齢や全身状態によって異なります。病期は、ローマ数字を使って表記することが一般的で、腎がんではⅠ期〜Ⅳ期に分けられ、進行するにつれて数字が大きくなります。
病期は、次のTNMの3種のカテゴリー(TNM分類)の組み合わせで決まります。

Tカテゴリー:原発巣の大きさや広がり
Nカテゴリー:領域リンパ節への転移の有無
Mカテゴリー:がんができた場所から離れた臓器やリンパ節への転移の有無

画像出典:腎がん(腎細胞がん) 治療:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

https://ganjoho.jp/public/cancer/renal_cell/treatment.html

以下に主な治療法を紹介します。

手術

腫瘍が小さく、腎臓全体を摘出する必要がない場合は、腎部分切除術が行われます。腫瘍が大きい場合は腎臓を摘出する手術(根治的腎摘除術)を行います。
手術の術式としては、おなかをメスで切開して行う開腹手術、おなかに開けた小さな穴から腹腔鏡を入れて行う「腹腔鏡手術」があります。腹腔鏡手術の中には、手術用ロボットを操作して行う「ロボット支援手術」もあります。

薬物療法

腎がんは抗がん剤(化学療法)にあまり反応しないため、分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬を使用します。

分子標的薬

がん細胞の増殖に関わるタンパク質や、栄養を運ぶ血管、がんを攻撃する免疫に関わるタンパク質などを標的にしてがんを攻撃する薬です。手術の前に小さながんを消滅させたり、がんのサイズを小さくして手術で切除する範囲を小さくしたりすることを目的に使用することもあります。

免疫チェックポイント阻害薬

がん細胞は免疫にブレーキをかけます。免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ(ブレーキがかかるのを防ぐ)ことなどにより、免疫本来の力を利用してがんを攻撃する治療法を「免疫療法」といいます。
免疫チェックポイント阻害薬は、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ薬です。
分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が使えない時には、免疫細胞が作り出すタンパク質の一種であるサイトカインを利用したサイトカイン療法を行うこともあります。