膀胱尿管逆流症
膀胱尿管逆流症とは?
膀胱尿管逆流症(VUR; vesicoureteral reflux)とは腎臓から尿管(腎臓と膀胱をつなぐ細い道)、そして膀胱へと流れていくおしっこが、排尿時に膀胱→尿管→腎臓へと逆もどりする現象をいいます。乳児では100人に1人ぐらいの頻度で認められます。1才以下では男の子で多く見つかり、それ以上の年齢になると女の子に多く見つかります。本来、膀胱と尿管のつなぎ目(尿管膀胱移行部)はおしっこが逆流しないように斜めにつながっており、おしっこをするときにはこのつなぎ目が閉じて、膀胱の出口(尿道)からだけおしっこが出ます。膀胱尿管逆流症ではこのつなぎ目が閉じきれず、尿管のほうへ逆流してしまいます。
原因は先天性が多く、遺伝子異常で起きると言われていますが、原因遺伝子の特定はできていません。他に尿道や神経の病気が原因でおしっこが上手く出せないために発症する場合もあります。
画像出典:小児泌尿器科|自由が丘ウロケアクリニック
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症状
膀胱尿管逆流症の方は、おしっこをするたびに膀胱の出口(尿道)からおしっこが出るだけでなく、尿管の方にもおしっこが逆流するために、細菌が腎臓まで送り込まれてしまいます。細菌はおしっこの出口から膀胱に入ってきますが本来はここで侵入が止まり、膀胱炎になることはあっても熱は出ません。しかし、逆流があり腎臓に細菌が取り込まれると39~40℃という高熱を出し腎盂腎炎となります。逆流がなくても腎盂腎炎は起きることがありますが膀胱尿管逆流症では、その頻度が高いのです。
治療
膀胱尿管逆流症は年齢とともに自然に改善し、治癒する可能性があります。逆流の程度は軽症から重症までⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ度と5段階に分けます。発見年齢が若く、逆流の程度が低く、片方のみの場合には自然治癒する可能性が高いと言われています。このため、抗菌薬(抗生物質)の内服で尿路感染を治療・予防しながら自然治癒を待ちます。しかし、繰り返す尿路感染や腎機能低下があれば、「尿管膀胱新吻合術」という逆流を防止する手術や、内視鏡を用いて尿管口周囲へ補強剤を注入する手術を行います。