前立腺がん
前立腺がんとは?
前立腺とは膀胱の出口にあり、尿道を取り囲んでいる男性のみにある臓器です。
前立腺がんの多くは、尿道や膀胱から離れた場所(外腺)に発生します。そのため、初期には自覚症状がないことがほとんどです。進行して発見された場合ではすでにがん細胞が骨やリンパ節に転移してしまっている事が多いです。
前立腺がんの治療を効果的に行うためには症状が出る前にがんを発見することが非常に大切で、そのためには健康診断や検診などで定期的に前立腺がんの腫瘍マーカーである前立腺特異抗原であるPSAの血液検査を受けることが重要となります。
画像出典:福岡大学医学部腎泌尿器外科学講座|前立腺がん
https://www.med.fukuoka-u.ac.jp/urology/malignant_tumor_prostate_cancer.html
主な症状
- 早期の前立腺がんのほとんどに自覚症状はありません
がんが進行した場合、以下のように前立腺肥大症と似た症状が出てきます - トイレに行く回数が増えた(頻尿)
- 尿意を感じてからトイレに行くまでおしっこを我慢できない(尿意切迫感)
- おしっこの勢いが弱くなった(尿勢低下)
- トイレに行ってもまたすぐ行きたくなる
- おしっこをする時に力むようになった、力んでも出ない(尿閉)
- おしっこが出るまでに時間がかかる(排尿遷延)
- おしっこのキレが悪くなった(排尿後滴下)
- おしっこが途中で途切れてしまう(尿線途絶)
- まだ残っている感じがする(残尿感)
主な検査
- 前立腺がんの腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(PSA)の血液検査
PSAの正常値は4ng/mlとされておりPSAは前立腺がんだけでなく前立腺炎や前立腺肥大症などの他の疾患でも上昇します。がんがみつかる可能性はPSA 4-10 ng/mlの方で30%、PSA 10 ng/ml 以上の方で50%と言われています。 - 尿検査(前立腺炎などの尿路感染症の有無の確認)
- お腹に超音波を当てて前立腺の大きさを測定する超音波検査(前立腺肥大症の有無の確認)
- MRI検査
PSA値が高く前立腺がんが疑われる方が行う検査で、画像でがんが疑われる部位があるかの確認に有用です。 - 前立腺針生検
PSAやMRIなどで前立腺がんが強く疑われる方は確定診断をするために必要となります。 肛門から直腸に超音波の機械(プローブ)を挿入し、前立腺を観察しながら針を複数ヵ所に刺し前立腺の組織を取ります。採取した組織を顕微鏡で観察して、前立腺がんの有無とがんを認めた場合は、その悪性度を確認します。
治療
治療法は患者さんの体の状態、年齢、PSA値、腫瘍の悪性度(グリソンスコア)、リスク分類、期待余命(これから先、どの程度生きることができるかという見通し)、患者さんの希望なども含め相談して決めていきます。
前立腺がんの主な治療法は、何もぜすに経過観察を行う監視療法、手術(ロボット支援下での手術)、放射線治療、陽子線治療、内分泌療法(ホルモン療法)、化学療法などです。複数の治療法が選択可能な場合があります。
画像出典:泌尿器科|診療科のご案内|三郷中央総合病院
http://mchp.jp/department/hinyoki2.html